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中武蔵七十二薬師
  四十四番 長松寺御詠歌

 恵みあれや

 年経り長き 松の戸の

 明け暮れたのむ 瑠璃の誓に
   1 薬師如来について

 薬師如来の原名は、バイサジュヤグル・バイドウルヤプラブハといい「薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)」と訳します。一般的には薬師如来というよりも、「薬師さま」というほうがより親しみやすいと思います。
 薬師さまは、浄土宗における御本尊である阿弥陀如来の西方極楽浄土とは反対の、遥か東方の浄瑠璃世界という浄土におられます。そこは、極楽と同様に美しく幸せに満ちた世界であるといわれています。
 そして、薬師さまは、私たち人間の病気、苦悩、災難をこの世で救って下さる「現世利益」の仏さまなのです。


2 薬師信仰とご真言

 薬師さまは、まだ仏になる前の菩薩の時代に、十二の大願(誓い)を立てられ長い間修行し、そのすべての願を実現して仏になったのです。この十二の大願の中で特に有名なのが、第七願の「どんな薬や医者でも治すことのできない病に罹っていても、私の名を称えれば必ずその病を治してあげよう」という願です。この願のために、薬師さまは日本に仏教が伝えられて以来、阿弥陀さまや観音さまとともに民衆の信仰の対象となり、親しまれてきたのです。
 薬師さまは、瑠璃色の宝壺を持っておられ、この壺の中に衆生の心と身体の病気を治す妙薬が入っているといわれます。そして、ご真言「オン コロコロ センダリ マトーギ ソワカ」と称えると、薬師さまがたちどころに病気や苦しみを除いてくださるといわれています。 


3 中武蔵七十二薬師

 中武蔵七十二薬師は、徳川家治の時代、安永五年(1776年)に坂戸市戸口の龍福寺中興寛智法印と上吉田の松本忠左ヱ門が願主となり、札番と御詠歌をつくり、寅年を薬師如来の御開帳と定め、薬師信仰を勧めたのに始まります。当山は、四十四番の札所となっており、寅年の四月初旬に寅薬師御開帳法要を行っています。



    

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浄土宗 寂照山 長松寺

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